コラム

イタバシュラン短編小説集『大根女優』第十八話

僕の部屋の薄いカーテンは、光を遮断しない。

オブラートに包まれた月明かりが優しく僕を照らす。

どのくらい眠っていたのだろう。

暗闇の中で、携帯電話をまさぐると、アルバイト先から電話が何件もかかってきていた。

時計を見ると、夜中の二時を回っていた。

先週から、ファミリーレストランで夜勤の清掃のバイトを始めたばかりだった。

でも、もうそれもどうでもいい。

申し訳ないけど、僕はもう眠ってしまいたい。

静かに目を閉じる。

けれど、月の光が邪魔をして僕は眠れない。

僕は布団に潜って強引に光を遮断するも、何かの異変に気付く。

月明かりではない。

この淡い一筋の光は、月明かりではない。

僕は、寝ぼけ眼で光の指す方に目を向ける。

そこには、いつものように、すき間から白く、弱い、けれど確かに照らしてくれる光が差し込んでいた。

僕は、飛び起きて、すき間を覗いた。

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