僕の部屋の薄いカーテンは、光を遮断しない。
オブラートに包まれた月明かりが優しく僕を照らす。
どのくらい眠っていたのだろう。
暗闇の中で、携帯電話をまさぐると、アルバイト先から電話が何件もかかってきていた。
時計を見ると、夜中の二時を回っていた。
先週から、ファミリーレストランで夜勤の清掃のバイトを始めたばかりだった。
でも、もうそれもどうでもいい。
申し訳ないけど、僕はもう眠ってしまいたい。
静かに目を閉じる。
けれど、月の光が邪魔をして僕は眠れない。
僕は布団に潜って強引に光を遮断するも、何かの異変に気付く。
月明かりではない。
この淡い一筋の光は、月明かりではない。
僕は、寝ぼけ眼で光の指す方に目を向ける。
そこには、いつものように、すき間から白く、弱い、けれど確かに照らしてくれる光が差し込んでいた。
僕は、飛び起きて、すき間を覗いた。