どうも、3度の飯より米が好き。アンダーグラウンド・ミセス・後藤です。
これは、コンビニのレジに並んでいた時のこと。
私の前に並んでいるカップルの何気ない会話が発端である。
女『この辺ってなんか微妙だよね。コレっていう食べ物やないよね』
男『そうそう、ホント十条とか大山の方がうまい店あっていいよね。板橋ってさ池袋まで3分、新宿まで10分っていう通勤には最強立地なのにね』
女『はあ。なんか美味しいもの食べたいなあ。』
男『そういえば、この間入った板橋のカレー屋うまかったなぁ』
女『どーせ、添加物たっぷりのなんちゃってスパイスカレーでしょ!?』
男『いやいや、違うって!めちゃくちゃうまかったんだよ!ラーメン食おうと思ったらカレー屋でさ。』
女『なにそれー。もうカレー食べたくなっちゃったよー』
何気ないカップルの話を耳にしながら、私の目は輝いていたと思う。
出会いというのは本当に唐突である。
私は食の摩訶不思議アドベンチャー・イタバシュラン。
幻のカレー屋さん!?こりゃあ探して行くっきゃないでしょ!!
しかし・・・、ネット上で探しても一向に見つかる気配がない。
ヒントは『入り口はラーメン屋だけど中身はカレー屋』のみ。
もしや、あの男が言っていたのは板橋駅周辺ではなく、大山、十条?
それであれば板橋駅周辺ではないのでイタバシュランの範疇ではない。
捜索開始から1時間30分、捜査は暗礁に乗り上げ、この日は泣く泣く眠ることにしたのだった。
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翌日、仕事を終えた私は、ランチを楽しむために、板橋駅に降り立った。
ランチはラーメンに決めていた。
私は板橋駅東口から出て30秒のところにある板橋の名所「ラーメンストリート」の入口に立っていた。
よし!今日は「ほたる」さんにしよう!あのチャーシューの食感がたまんねぇんだ!
さっそく店に向かったが、店の前に着くと違和感を感じた。
・・・・いつものほたるではない。
なんだこの違和感・・・奴だ、ヤツが来たんだ、赤い彗星のシ・・・
オロオロと戸惑っていると、中から女性が出てきた。
「こんにちはー、カレーはいかがですか?」
意味がわからない。
私はつけ麺を食べに来たのに、なぜ中から女性が出てきて、「カレーはどう?」と聞いてくるのだ?
困惑していると、その女性から信じられない一言が発せられた。
「ごめんなさい、今日はほたるさんお休みなんです。だからその間だけお店をお借りして、カレー屋をやってるんです。」
私の頭の中で、昨晩のカップルの会話が、ドラマのワンシーンのように再生され、点と点が繋がる。
「え!!もしかして・・・」
私はこの偶然に鳥肌が立った。
だが安心するのはまだはやい。
私は、何度も、このドキドキに裏切られてきたのだ。
今回も、カレーラーメンとかトリッキーなものが出てきたら、ちょっと残念すぎる。それはそれで美味しいかもしれないが、そんな変化球はやだ。
しかし、空腹は我慢できない。
私は、覚悟を決めて入店した。
するとメガネの優しそうな男性が迎えてくれた。
店内はいつものほたる。カウンターにはアクリル板で仕切られており、コロナ対策もバッチリだ。店主はとても愛想の良いメガネの素敵な男性。気遣いからか、とてもよく話してくれる。
カウンターのテーブルに置かれたメニュー。
「素材Curryアロマ」とは、またオシャレなネーミングである。
「うわ、美味しそう・・・」
私の口は、完全に「つけ麺」から「カレー」になっていた。
もうカレーラーメンの不安はない。
おすすめを聞いて、私はあいがけカレー、チーズトッピングを注文。
カレーを待っている間も、店主との会話がつきない。
聞くところによると、店主は板橋生まれの板橋育ちだそう。ほたるを間借りしている経緯や、オープンするまでの話などもしてくれた。
こういう待ち時間も、ひとつのスパイスなのである。店内に漂う香ばしいカレーのにおいを感じながら、会話に花を咲かせる。
そうしているうちに、カレーの到着。
実にうまそうである。
早速合掌!いただきます!
チキンカレー方面からスプーンを入れる。スープに近いルーをご飯と絡ませて一口。
うまい!
あっさりしているようだが、甘みとコクをしっかりと感じることができる。
そして、ご飯の硬さがスープの粘度に非常にマッチしていて、歯応えもいい。
スプーンを次から次へと口にいれたくなるのだ。
スパイスはもちろん効いているのだが、インド系カレーのクセの強い類ではない。とても優しいスパイスでたべやすい。
何コレ、食べたことないよ!
お次はキーマ方面!
うまいよ!うますぎるよ!
ひき肉の歯応えとご飯の歯応えが最高!
チキンカレーのスープ粘度のルーも良かったが、キーマルーも侮れない!これはこれでアリ!
もっと味が濃いのかなと思っていたが、そんなことはない。ちょうど良い濃さと口の中で甘さが広がる。
私はこれまで、スパイスカレーで甘さを感じたことがなかったのだが、これは非常に食べやすい!
ガツガツ食べていると、店主がさりげなく味の秘密を教えてくれた。
それは塩だ。
味付けはスパイスと塩。それと野菜。
他の調味料は一切加えていないそうだ。
「この味は野菜の出汁で、バランス調整の塩だったのか・・」
この味に至ったのは店主の食にかける思いがあった。その思いは是非店に足を運んで直接きいていただきたい。
世に百万とカレーはあるが、こんなに優しいスパイスは味わったことがない。
あっという間に完食である。ごちそうさま。
昨日のカップルの会話から端を発し、偶然が重なってここまできた。なんだか感慨深いものが込み上げてきた。
食もまた出会い。
この出会いと食に感謝し、今日も板橋にごちそうさま。
素材curry アロマ(場所は麺屋ほたるさんと同じです)
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